キリンは1種ではなく4種だった 独研究グループが新説
フランクフルト大学の研究グループは、遺伝子解析の結果、キリンは1種ではなく4種に分類されるべきだという新説を発表した。この研究は8日、米国生物学誌『カレント・バイオロジー(Current Biology)』の電子版で公開された。
キリンは、実は4種だった。「種」が違うとは?
今までの研究では、アフリカに生息するキリンは1種のみで生息地域や模様の違いから9つの亜種が存在すると考えられていた。今回の研究では141個体のキリンの遺伝子を比較し、それらの違いの度合いについて解析。その結果、キリンは1グループではなく、遺伝的差異により大きく4つのグループに分類されるということが明らかになった。さらに、この4つのグループは互いに交配をしないということから、異なる種として分類するべきだとしている。同研究グループは、今回の結果を今後の保全活動に生かしていきたいとしている。
「種」とは?
生物の分類は、古くから「形態」や「特徴」をもとに行われてきた。現在は、大きく分類したグループをさらに細かく分類する階層的な分類が一般的で、「種」はこの分類の最小単位に相当する。種の定義もさまざまあるが、広く受け入れられているのは「交配し、子孫を残す個体同士は同じ『種』である」とする考え方だ。もともと一つの種であった生物が川や山によって地理的に分けられ、長い時間が経過すると、少しずつ違いが生じ(進化)、お互いに交配できなくなった場合、2つの種に分かれたということになる。たとえば、ヒョウとライオンや、ロバとウマ、ヒグマとホッキョクグマなどは、種が違うと言える。
近年、遺伝子解析技術の発達によってさまざまな生物のゲノム配列が得られるようになり、一部の分類や系統関係の見直しが行われるようになった。今回の論文のように配列データに基づいて種の分類を提案することは珍しく、今後、議論が起こりそうだ。
(写真はイメージ)