留年は教育の手厚さの表れ? ドイツ・バイエルン州で留年率が最多
ドイツの消費者ポータルサイト「billiger.de」がこのたび、ドイツ国内の小学校から高校までの留年率の都市別比較を発表した。16日付のヴェルト紙が報じた。
この調査では、人口10万人以上の都市における小学校から高校までの留年率を比較。ドイツ国内全体では2014~15年にかけて、合計270万人の生徒数に対して5万2982人が留年しており、留年率は1.97%となっている。
都市別比較で最も留年率が高かったのがバイエルン州のコーブルクで、1000人の生徒に対して38人が留年。これに次いで多かったのが同じくバイエルン州のフュルトとホーフで、37人が留年しており、国内で留年率が最も高い上位15位までをバイエルン州が独占する結果となった。一方、留年率が最も低かったのがバーデン=ヴュルテンベルク州のアーレンで1000人中9人。テューリンゲン州のイエナは11人、ズールは12人と、これに次いで低い割合を示した。
ただし、留年率の多寡は州および都市の教育レベルに比例しておらず、州ごとの教育政策方針の違いが大きく反映されている。留年率がずば抜けて高かったバイエルン州は、実は教育レベルが国内平均を大きく上回っており、学習到達目標に達しなかった生徒を留年させることで、確実に学習させる仕組みを徹底している。一方、留年率の低かったハンブルクでは2010年以降、留年制度を段階的に廃止する方向に向かっており、学習到達度の低い生徒に対しては、留年ではなく補習授業を課している。
教育専門家は「留年は恥ずかしいことでも人生の敗北でもなく、子どもにはそれぞれのテンポがあり、それを尊重するべき」と述べており、ドイツ人の4人に3人は留年の意義を認めている。ちなみに、ドイツを代表する文豪のトーマス・マンは2回、ヘルマン・ヘッセは1回留年している。
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