独創的で不思議な廻船集落 佐渡島「宿根木」の魅力
新潟県佐渡市の南に位置する「小木港」は、江戸時代後期に相川の佐渡金山で採掘された金銀を運搬するための寄港地として繁栄した。今回、この小木港から西に3kmほどのところに位置する
江戸時代、小木港が幕府によって整備されたことにより、宿根木に居住していた船主たちが船頭となり、ここから全国各地に商売に出掛けた。船大工や有能な造船業者がこの場所に移り住み、北前船産業の基地として栄えた。当時、佐渡島全体の富の3分の1がここに集まったというほどだ。佐渡金山の相川では武家文化が栄え、佐渡中央部の国仲では順徳天皇や日蓮、世阿弥など流人による公家文化が栄えていたのに対し、ここ小木のあたりは町人文化が栄えた。
宿根木公会堂 今も鼓動(和太鼓の芸能のライブで使われている)
宿根木の入り江にある100平方メートルほどの限られた狭い敷地には、100棟以上の民家が密集している。道幅わずか1mほどの両側にはひしめき合うようにして家々が建ち並ぶ。家は廻船業を営む人々にふさわしく船板をはめ込んで建てられている。独創的で、不思議な町並みだ。迷路のような小道を歩く。細い水路も縦横に流れている。貴重な生活用水だ。不意に別世界に迷い込んだような感覚を味わう。佐渡の不思議な魅力をまたひとつ発見した。
細い水路はここに住む人々の大切な生活用水だ。ここで洗濯もし、野菜なども洗った
小木のトレードマーク たらい舟と漕ぎ手の女性が描かれたマンホール
(冒頭の画像:三角家に集まる人々)