【ノーベル賞2016】化学賞に欧米の3人 分子マシンを設計・合成
スウェーデン王立科学アカデミーは5日、2016年のノーベル化学賞を発表した。仏ストラスブール大学のジャン・ピエール・ソバージュ名誉教授、米ノースウエスタン大学のジェームス・フレーザー・ストッダート教授、オランダ・フローニンゲン大学のベルナルド・フェリンガ教授の3人が選ばれた。3人は「分子マシン」と呼ばれる、機械の部品のような機能を持った分子を効率よく合成した研究成果が評価されており、3分の1ずつ授与される。
ソバージュ名誉教授は1983年、2つの環状の分子を知恵の輪のようにつなぐ合成方法を生み出した。ストッダート教授は、軸に沿って移動することができる分子シャトルや、高さ0.7nm(ナノは10億分の1)に上昇できる分子エレベーターを作成。フェリンガ教授は1999年に初めて分子モーターを、2011年にはナノサイズの4輪駆動車を作成した。
日本では九州大学特別主幹教授の新海征治名誉教授が分子マシン分野の先駆的研究をしており、ノーベル賞受賞者予測とされるトムソン・ロイター引用栄誉賞を受賞していたが、今回ノーベル賞受賞とはならなかった。
同アカデミーは、「分子モーターは、1830年代に電動モーターが開発され、さまざまな機械に発展したときと同じ段階にある。分子マシンは新しい材料、センサー、エネルギー貯蔵システムなどの開発につながる」としている。
画像提供:スウェーデン王立科学アカデミー