薬のもらいすぎに注意。厚労省、重複投与の防止にむけ服薬指導を強化
厚生労働省が重複投与の防止に向けて服薬指導を強化している。
医師が処方した多くの薬を患者が飲み続けた結果、具合が悪くなって救急搬送される例が後を絶たない。薬の情報が医師同士や薬剤師の間で共有されず、重複したり、飲み合わせが悪くなったりするからだ。特に高齢の患者は、病院から多種類の薬を処方された場合など適切に服用できず、症状の悪化で薬が増える悪循環や、重複投与による副作用が生じる懸念が指摘されている。
このため、厚労省は患者本人がかかりつけ薬局を決め複数の病院を受診しても、その薬局に処方箋を持ち込める環境づくりを目指している。かかりつけ薬局の薬剤師が患者宅を訪問するなどして薬を整理し、投薬日数や薬を投与する量を指導する体制の推進を図るものだ。2025年までに全国に約5万7千カ所ある薬局をかかりつけ薬局に再編する案も検討。服薬指導の強化を盛り込んだ「薬局構造改革ビジョン」(仮称)で方向性を打ち出した。
服薬指導の強化を誘導するため厚労省は服薬指導のほか、患者の服薬情報の一元管理やジェネリック医薬品(後発薬)の使用促進などの取り組みを評価し、調剤報酬を手厚くする方針だ。同省は21日に開いた政府の規制改革会議で、服薬指導の強化に向けた調剤報酬の抜本的な改革案を示し、会議側から肯定的な意見が出た。