世界の自動販売機めぐり(2) ニベアの自動販売機(ドイツ)
スキンケアクリームの定番ともいえるニベアが、実はドイツ発祥というのはご存知だろうか? ドイツ・バイアースドルフ社が開発したニベアクリームは今から100年前、世界で初めて水と油をベースに化学的に安定させたクリームとして誕生した。今でこそスキンケア用品も多様化し、さまざまなブランドのものが市場でしのぎを削っているが、丸く平たい青い缶に入ったニベアクリームは、かつてはどこのお家にもある庶民派の万能クリーム的な存在だった。
そんなニベアの定番ぶりを物語るかのように、ニベアの自動販売機がドイツには存在する。写真はベルリンのとあるカフェの片隅で見かけたもの。自動販売機は通路脇に設置されており、うっすらとほこりをかぶっていた。カフェの店員に尋ねると、「今までこれを使っているお客さん、見たことないですね」との回答。50セントコインを入れると、手のひらサイズの小さなニベアの缶が出てくる。手を洗った後にハンドクリームがほしくなったら……という用途なのか、それとも単なるプロモーション用なのか、その目的は微妙なところだ。
ちなみに、ドイツ人の若い女の子のスキンケアはいたって簡略的な場合が多い。筆者の知っている最も簡単なケースは、水で洗顔してあとはニベアを塗るだけ、というもの。100年変わらないニベアの盤石ぶりを見ていると、素朴で質実剛健なドイツ人精神の底力を見せつけられているような気がしてくる。