道徳教科書、文科省の検定基準方針まとまる
文部科学省は22日、教科外活動から特別の教科に格上げする「道徳」教科書の検定基準の方針をまとめた。子供たちが多角的に考えられるような配慮がされているかどうかを検討するほか、検定の際には、教科書1冊につき道徳教育の経験が豊富な教員ら3人程度が内容を調べるという、異例の体制案を示した。文科省内で開かれた審議会の合同会議で大筋了承され、7月には最終的な報告書をまとめることとしている。
文科省は2018年度から道徳を「特別の教科」と位置づけ、これまで教科外活動の教材として使われていた副読本にかわって、国の検定を受けた教科書を導入することを決めており、検定の基準や体制を検討している。今回了承された検定基準の骨子案には、「考える道徳」を重視する観点から、(1)多様な見方が可能なテーマを取り上げる場合、偏った取り扱いをしないこと、(2)自ら課題を見つけ解決策を探る「問題解決型学習」(アクティブ・ラーニング)や体験的学習に配慮すること、(3)生命の尊厳、伝統と文化、情報化への対応など現代的な課題も取り上げること、などが含まれている。
新学習指導要領は、小学校で2018年度から、中学校で19年度から実施される。教科化をめぐっては、一定の価値観や規範意識の押し付けにつながるとの懸念も出ているため、文科省幹部は「教科書検定では、より多くの人の目で、多角的かつ重層的に確認してもらいたい」と話している。授業時間はこれまでと同様の週1回で、5段階数値などではなく文章で記述する形で評価する。子供たちの、考え、議論する力を育てる体制作りが求められている。