OECDがEU健康リポート発表 平均寿命は上昇、自殺率は低下
経済開発協力機構(OECD)と欧州委員会が共同でまとめた、EU加盟国28カ国の健康リポートを発表した。23日付の南ドイツ新聞オンライン版が伝えた。
EU全体での平均寿命は、1990~2014年までの間に6歳上昇。1990年に74.2歳だった平均寿命が、2014年は80.9%となっており、西ヨーロッパの方が中部および東ヨーロッパよりも全体的に平均寿命が長かった。ドイツ人の平均寿命は女性が83.6歳で男性は78.7歳と、健康や医療に対する出費が高いにも関わらずEU平均と変わらなかった。これに対し、スペイン、フランス、イタリア、ポルトガルなどはドイツよりも平均寿命が3歳前後長かった。また、がんなどの深刻な病気に最初にかかる年齢が、EU平均では61.5歳だったのに対して、ドイツではこれが50代半ばだった。一方で、マルタやスウェーデンではこの年齢が70歳を過ぎてからとなっている。
EU全体で、心臓疾患に次いで多い死因ががんとなっており、男性の30%、女性の24%ががんで死亡している。最も多いがんは乳がんで13.8%、これに前立腺がん(13.6%)、腸がん(13%)、肺がん(11.8%)が続いている。
また、EU平均では自殺者の割合が10万人中15人で、男性が自殺するケースは女性の4倍に上る。欧州全体での自殺率は2000~2013年にかけて20%減少しているが、最も高い国はリトアニアで10万人中37人。最も低い国は南ヨーロッパに集中しており、キプロス(4人)、ギリシャ(5人)、イタリア(6人)だった。うつやアルコール中毒が自殺を引き起こす要因とされており、これの背景には経済的なトラブルや借金、貧困や失業があるとした。絶対数としては自殺率が低いギリシャでは、2007~2013年の間に債務危機を挟んで60%自殺率が上がっている。
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