安佐動物園で「ダルマガエル米」を販売 絶滅危惧種保護活動の一環
安佐動物公園(広島県広島市)では、絶滅危惧種であるナゴヤダルマガエルの保護活動の一環として収穫された「ダルマガエル米」を園内の売店で販売している。
ナゴヤダルマガエルは、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧I類に分類されている。広島県内の自然生息地は三次市内の水田2カ所のみ。福山市の自然生息地の水田が2003年に埋め立てられたときに、広島県主導でナゴヤダルマガエルを捕獲して、同園を含む数施設で保護した。同園では2005年に飼育下繁殖に初めて成功、新たな生息地づくりのために世羅町の小谷地域の水田で地域住民と共同して幼生(オタマジャクシ)の放流や生息調査に取り組んできた。
「ダルマガエル米」は、ダルマガエルが生息する水田で農薬を使わずに栽培し、収穫した米。近年の日本の稲作では、稲の茎を必要以上に増やさないためや田んぼに重い機械を入れるために、田から一度水を抜いて乾かす「中干し」を出穂期前に行うが、一般的な稲の中干しの時期がダルマガエルの繁殖期と重なるため幼生が干からびて死んでしまう。そこで、繁殖期に田の水を残すために小谷地区では中干しの時期を遅くできる「あきろまん」を栽培したという。
同米を栽培している農家の井藤文男さんは、「カエルは田んぼにとって貴重なもの。カエルが住める田んぼは水生昆虫にとって天国になる。これからもカエルとともにコメ作りをしていきたい」と語った。
写真提供:安佐動物公園