人工知能で日本の経済成長率は3倍超、労働生産性も30%超改善か
人工知能(AI)を活用すれば日本の労働生産性は30%超改善され、経済成長率は3倍超になる--。そんな可能性があることが、アクセンチュアの調査で分かった。
日本生産性本部によるとOECD加盟国34カ国中21位、先進7カ国の中では最も低い水準であり、日本の労働生産性の低さは長年の課題としている。アクセンチュアの調査では、AIが仕事の在り方を変え、人間と機械との新たな関係性を生み出すことで、今後20年で年間経済成長率が倍増することが期待できることが分かった。また、AI技術によって根本的に働き方が変わり、ビジネス成長における人間の役割がテクノロジーによって強化されることで労働生産性も大きく改善されるという。
今回の調査では、日本の粗付加価値(GVA:GDP成長率とほぼ相当)が現状と変わらずに成長した場合(ベースラインシナリオ)に比べて、AIの影響力が市場に浸透した場合(AIシナリオ)に期待される年間経済成長率は、2035年には3倍超になると予測。米国は約1.8倍、英国は約1.6倍、ドイツは約2.1倍となっている。
また労働生産性は、ベースラインシナリオに比べてAIシナリオでは日本は34%向上すると予測された。米国は35%、英国は25%、ドイツは29%となっている。
同社はAIによる経済成長について、人間と機械の知能を融合させ双方向に学習できる関係の構築、適切な法規制・倫理規定の導入、AI導入時の人間への雇用・収益影響の緩和などがカギになると指摘している。
アクセンチュア・パフォーマンス研究所マネージング・ディレクターのマーク・パーディ氏は、「AIは世界各国に驚くべき利益をもたらす可能性がある。この可能性を実現するために知識・技術・政治・倫理・社会のあらゆる点において十分に体制を整え、AIが日常生活に深く関わるにつれて生じるメリットや課題に対処する必要がある」とコメントした。
画像提供:アクセンチュア及びフロンティア・エコノミクス