IUCNレッドリスト更新、キリンが絶滅危惧種に指定
国際自然保護連合(IUCN)は8日、メキシコ・カンクンで開かれた生物多様性条約第13回会議でレッドリストの最新の更新内容を発表。キリンの個体数の急激な減少や、新種とされた742種の鳥類のうちの11%が絶滅の危機にあることなどを公表した。レッドリストは今回の更新により2万4307種の絶滅危惧種を含む、8万5604種を評価したことになる。
キリンは主にアフリカ南部と東部に生息するが、1985年から2015年にかけて約40%減少して約9万8000頭となり、軽度懸念から絶滅危惧II類に上げられた。減少の原因は違法狩猟、農業と鉱業の拡大による生息域の破壊と改変、人間と野生動物の間でのトラブル、社会情勢不安などとされている。9月のIUCN世界自然保護会議では、キリンの減少を逆転させるための行動を求める決議が採択された。
また、全鳥類1万1121種が再評価された。新種が742種あったが、そのうち11%はすでに絶滅危惧種とされている。新種のうちの13種は絶滅種と登録された。全てが島嶼(とうしょ)固有の鳥類で、外来種の影響を大きく受け、いくつかは過去50年の間に絶滅したと考えられている。IUCN事務局長インガー・アンダーセン氏は「多くの種が、私達が種として認識する前にひっそりと消えている。今回の発表は、地球規模の絶滅の危機が私たちの思う以上に速く進んでいることを示している」とコメントした。
なお今回の更新では、トヨタ自動車とのパートナーシップによって、カラスムギ、オオムギ、ヒマワリなどの、233種の作物の近縁野生種の初めての評価も行われた。
参考記事
キリンは1種ではなく4種だった 独研究グループが新説(2016/09/31)
キリンの首はなぜ長い? ゲノム解読で進化の過程解明へ(2016/05/21)
(写真はイメージ)