2016年、世界の自然災害被害額20兆円 過去4年で最大
独ミュンヘン再保険会社は4日、2016年に世界各地で起きた数々の壊滅的な地震と強烈な嵐によって、過去4年間で最も自然災害による損失が大きかったと発表した。被害額は、前年度比で3分の2増加の1750億ドル(約20兆円)となり、2012年の1800億ドルとほぼ同じ高い水準に達した。
2016年には地震、嵐、洪水、干ばつ、熱波など750件の損失事象が記録された。これは過去10年間の平均値である590件を大幅に上回っている。これらの自然災害で約8700人が生命を失ったが、2015年の2万5400人に比べればはるかに少なかった。洪水での損失は、過去10年間の平均値21%と比較すると2016年は34%を占めている。
2016年の最も大きな被害額となった自然災害はアジアで発生した。4月に起きた熊本地震で310億ドル(約3兆6000億円)、6~7月に起きた中国での洪水で200億ドル(約2兆3000億円)の損失があった。
北米では1980年以降で最も多く損失が発生し、160件が記録された。最も深刻だったのはハリケーン・マシューによる102億ドル(約1兆2000億円)で、2010年のハイチ地震からの復興に苦労しているカリブ海の島国に大きな被害があった。5月にカナダのフォートマクマレーでの山火事で40億ドル(約5000億円)、8月にはアメリカ南部のルイジアナ州を始めとする複数の州にまたがる大洪水で100億ドル(約1兆2000億円)の損失があった。
ヨーロッパでは5月下旬と6月上旬に一連の嵐があった。豪雨により、特にドイツで数多くの洪水が発生し、パリ周辺のセーヌ川でも大洪水が発生した。全体的な損失は54億ユーロ(約7000億円)だった。
同社のジオ・リスク研究ユニットのリーダー、ペーター・ヘッペ氏は、「2016年の気象関連の災害を見ると、未確認の気候変動の潜在的な影響が示されている。もちろん、個々の事象の原因を直接気候変動に帰することはできないが、気候変動の結果として特定の地域で豪雨や嵐を招くような特定の事象が今や存在している」と説明した。
画像提供:独ミュンヘン再保険会社