逮捕歴削除認めず

ネット上の「犯罪歴」削除認めず 最高裁

最高裁第3小法廷は1月31日、インターネット検索サイト「グーグル」に表示される過去の犯罪歴削除の仮処分申し立てで、検索結果の削除を認めないとの全裁判官一致の意見を決定。検索サイト側の表現の自由と、表示される側のプライバシー保護を比較したうえで、「公表されない利益が優越することが明らかな場合に限って削除できる」と、削除に対して厳格な要件を求める初の統一判断を示した。欧州で認められている「忘れられる権利」への言及はなかった。

今回の抗告内容は、児童買春をしたとの被疑事実に基づき逮捕されたという、他人にみだりに知られたくない抗告人のプライバシーに属するものだ。ただし、児童買春が児童に対する性的搾取および性的虐待と位置付けられており、社会的に強い非難の対象とされ、罰則をもって禁止されていることから、今なお公共の利害に関する事項とされた。さらにこの検索結果は、抗告人の居住する県の名称と氏名の組み合わせで検索した場合の結果の一部であり、伝達される範囲は限定されている。また、罰金刑に処された後、一定期間罪を犯さず抗告人が妻子とともに生活し、民間企業で稼働していることから、過去の犯罪を公表されない法的利益が優越することが明らかであるといえないとの判断だ。

近年、欧州連合(EU)では「忘れられる権利」が法律で認められており、他人に知られたくない過去の情報の削除を求めることができる。グーグルは2014年の欧州司法裁判所の判決に基づいて、自分の知られたくない過去の情報について検索結果の削除依頼を受け付けている。今回の最高裁決定は、この「忘れられる権利」について言及することはなかった。

(写真はイメージ)
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