2030年代に「ミニ氷河期」 新モデルで太陽活動が現在の60%まで低下と予測
英国ノーサンブリア大学のヴァレンティナ・ジャルコヴァ教授らは、太陽活動の新しいモデルを作り、2030年代に太陽活動が現在の60%まで低下し、「ミニ氷河期」になると予測した。英国ウェールズ州ランディドノーで開催された、王立天文学会の国立天文学会議で9日に発表された。
太陽の黒点の数を調べることで、太陽活動が10~12年ほどで周期的に変化することが発見されたのは1843年。ガリレオ・ガリレイが1745年に黒点を観測した後、次の太陽活動周期の始まりを告げる黒点が現れた1755年から始まった周期を第1太陽周期として、2008年12月から現在は第24太陽周期にあたる。すべての周期の長さが少しずつ異なっており、太陽活動の従来モデルではこの変動を説明できなかった。ジャルコヴァ教授は、「太陽の内部にある2つの異なる層に由来するペアで現れる磁気波成分を見つけました。これらの周波数はわずかに異なっていますが、どちらも約11年周期です。両方の波を組み合わせた新しいモデルを考え、現在の太陽活動周期の実際のデータと比較したところ、新しいモデルでの予測が97%の精度を示すとわかりました」と述べた。
このモデルでは、第25太陽周期に波のペアが次第に相殺するようになり、2030年代に当たる第26太陽周期には、太陽活動の有意な減少が引き起こされる。これは1645年から1715年に生じた「マウンダー極小期」と呼ばれるミニ氷河期と同様な状況になると予想している。
370年前のマウンダー極小期には、世界的に気候が寒冷化して農作物の不作が続き、大規模な飢饉が各地で発生した。また1665年にはロンドンでペストが大流行し、1669年にはイタリアのエトナ火山の噴火も起こった。日本では1703年に関東地方で元禄地震、1707年には南海トラフ連動型の宝永地震、その49日後に富士山が宝永大噴火を起こすなど、災害と飢饉が続いた。
15年後に向けて、私たちはいま何を備えるべきだろうか。限られた時間を有効に用いることができるよう、各自がよく考えなくてはなるまい。
画像提供:Yohkoh/ISAS/Lockheed-Martin/NAOJ/U. Tokyo/NASA.
Montage of images of solar activity between August 1991 and September 2001.