日本語の色名の変化30年前よりも多様に

「色の名前」が多様化 30年前との比較で明らかに

日本人が使う「色の名前」が増加しており、日本語での色の表現の進化が今なお続いていることが明らになった。30年前の調査では「青」と「水色」は同じ色として扱われていたが、今回の調査でこの2色が区別されていることが確認されたという。1日付で科学雑誌『ジャーナル・オブ・ビジョン』に掲載された。

人間の視覚は100万に及ぶ微細な色の違いを見分けることができると言われているが、日常的に言葉として使われる色名は「赤」「緑」「青」「黄」などの少数に限られている。これらの色名は言語の発達とともに変化しており、例えば「青」と「緑」を一つの色として扱っていた言語も発達するにしたがって、青と緑を区別するようになることが知られている。

今回の研究では、日本語を母語とする57人に対して日常的に使う色名の数について調べた。参加者は320の色見本を1つずつ見て、その色名を修飾語や複合語を使わず単一語の色名で回答。これらの回答から320色を何色に区別しているかを統計的に解析した。

その結果、日本語話者に共通する19の色が確認された。19の色は、多くの近代的文化圏で用いられる11基本色【赤、緑、青、黄、紫、ピンク、茶、オレンジ、白、灰、黒】と、それ以外の8色【水色、肌色、紺、抹茶、黄土、えんじ、山吹、クリーム】だった。

30年前に行われた調査では、同じ色に対して「青」と「水色」を区別なく使う参加者が多かったが、今回の調査では98%の参加者がこの2色を区別していることが確認された。また、30年前は黄緑を指して「草色」が頻繁に使用されていたが、今回、「抹茶」が黄緑を表す色名として置き換えられたことが分かったという。また、日本語とアメリカ英語を比較すると、両者はおおむね似たような色の分類をしていたが、水色、紺、ティール(カモの羽の色の青緑)、ラベンダー、マゼンダ、ライムのように片方の言語にしか見られなかった色名があったという。

研究グループは、今回の研究結果をもとに、人と人あるいは人と人工知能(AI)の間でより円滑にコミュニケーションをするための情報通信技術の実現に取り組みたいとしている。

(写真はイメージ)

 
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