過去10年で、たばこ消費量が大きく減少 ドイツ
ドイツでは、非喫煙者保護法の施行により2007年以降、公共の場所での喫煙が著しく制限されるようになった。以来、過去10年でドイツ人のたばこ消費量が大きく減少していることを26日付の南ドイツ新聞オンライン版が報じた。
「店内での喫煙が禁止されたら、飲み屋は存続できなくなる」--非喫煙者保護法の適用を受けて、そのような懸念がささやかれたが、10年経った今も多くの飲み屋は存続している。逆に、喫煙者の数が減っていることが連邦健康啓蒙センター(BZgA)の発表で明らかになった。特に12~25歳までの若年層で、4人に3人はまったくたばこを吸ったことがなく、BZgAのマリータ・フェルカー=アルベルト氏は、「成年に達するまでに喫煙経験がない人は、その後もたばこを吸うことはない」と、この統計を肯定的に評価している。
過去1世紀にわたってドイツにおけるたばこの歴史を振り返ると、1900年代初頭はたばこや葉巻、そしてパイプは上流階級の嗜好品で、男性だけがたしなむものとされていた。その後、第1次世界大戦を経てたばこは民主化され、戦後は女性解放運動と結びついて多くの女性がたばこを吸うようになった。喫煙規制の存在しなかった1970年代および80年代は、人口比でドイツ人1人につき年間2000本、1日に5本のたばこが消費されていたという。これが2016年の時点では、1人平均1日2本半にまで減少している。この理由として南ドイツ新聞は、以下の3つの要因を挙げている。
【禁止措置】多くの飲食店や公共の場での喫煙が禁止され、たばこの広告を厳しく規制。
【予防活動】喫煙の害について、学校での早期教育を徹底。
【購入に対する障壁】自動販売機でたばこを購入する場合、年齢の提示を求められるようになったこと。たばこの値段がかつてに比べて高額になったこと。
またBZgAは、喫煙者が大学生よりも失業者や職業訓練生に多いことから、近年ではたばこが低学歴者や社会的弱者の嗜好品として認識されつつあると指摘している。
ドイツ国内の地域別では、最も喫煙者率が高い州がベルリン州で35.1%、最も少ない州が南西部のバーデン=ヴュルテンベルク州で26.9%だという。
(写真はイメージ)