花便り~ギボウシ

ユリにも似た薄く紫がかった花が静かに咲いていた。葉はオオバコにも似ている。

ギボウシという名は、そのつぼみ、また包葉に包まれた若い花序が、擬宝珠(ぎぼうしゅ)という橋の欄干の上にある玉ねぎのような形の装飾物に似ているところからつけられた。属名のホスタ(Hosta)の名でも呼ばれる。東アジア、また日本が原産といわれており、ヨーロッパへは1830年頃にシーボルトが紹介し、欧米で多くの品種が作られたという。

日本では地方によって、ギンボ、タキナ、ウルイなどと呼ばれ、山菜としてその新芽や若葉が使われる。サラダ、浅漬け、油炒め、酢味噌和え、味噌汁、混ぜご飯、巻き寿司などそのメニューは豊富だ。食味に癖はなく、噛むと少しぬめりがある。

メニューを考えるとお腹が空いてきそうだが、もう山菜の時期は過ぎたのでそれはいったん忘れて、今は目の前に咲くこの花に、静かに向き合うとしよう。

花言葉:静かな人、沈静、落ち着き、変わらない思い・献身
ギボウシ(擬宝珠):ユリ(リュウゼツラン)科ギボウシ属の多年草