横浜市繁殖センター、絶滅危惧種ミゾゴイの飼育下でのふ化に成功

横浜市環境創造局の繁殖センターは6月20日、ミゾゴイの飼育下でのふ化に日本で初めて成功した。ミゾゴイはサギの仲間で、里山などに生息する渡り鳥。近年、生息環境の消失などにより急激にその数を減らしてきている。同センターは、「今回の成果は今後のミゾゴイの保全に大きく貢献する重要な第一歩だ」としている。

横浜市ではミゾゴイの飼育を、2004年に市内で保護された個体の飼育という形で開始して以来、10年以上飼育や調査研究に取り組んできた。繁殖センターで2012年に種の保存事業の一つとしてミゾゴイが決定され、2013年から飼育に着手している。

ミゾゴイはペリカン目サギ科ゴイサギ属。全長約50cm、体重約600g。夏鳥として4月頃に本州、佐渡、隠岐、四国、九州に渡来して繁殖し、10月頃に越冬地である台湾、中国南東部、フィリピンなどへ渡り越冬する。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに絶滅危惧1B類として掲載されており、野生の生息数は1000羽以下とされている。

繁殖センターは、希少動物の保全及び繁殖を通して生物多様性の保全に貢献するため、1999年によこはま動物園(横浜市旭区)の敷地内で開設された。これまで、カンムリシロムクの野生復帰やカグー等の希少動物の飼育下繁殖に成功してきた。また、施設内には実験設備を備え、希少野生動物の亜種判定や近縁関係、雌雄判別などに関する遺伝子解析、繁殖生理解明のための性ホルモン動態の解析など、「種の保存」に関わる研究を行っている。動物の精子、卵子、組織の凍結保存、人工授精等を試み、遺伝資源の保存にも取り組む。

ふ化したばかりのミゾゴイの雛
ふ化したばかりのミゾゴイの雛
ミゾゴイの成鳥
ミゾゴイの成鳥

画像提供:横浜市繁殖センター