花便り~ヤグルマギク
花にしては珍しい青紫の花が一面に広がっている。ヨーロッパ原産のこのヤグルマギク、日本へは観賞用として明治時代に渡来し、鯉のぼりの矢車に似ていることから矢車菊の名がつけられた。この植物、調べてみると経緯も薬効もとても多く興味深い。
属名のCentaurea(ケンタウレア)は、ギリシャ神話の半人半馬の怪物ケンタウロスにちなんでおり、英名のCorn flower(コーンフラワー)は、トウモロコシ畑や麦畑でもたくましく育つことからつけられた。ドイツでは「カイゼル(皇帝)の花」と呼ばれドイツの国花になっている。プロイセンがナポレオンによって侵攻された際、麦畑に身を隠した王妃が王子たちを慰めるためにこの花で花冠を作ったという。
薬効としては収斂作用、消炎作用があり、咳や気管支炎、肝臓によいとされる。生の花びらを食用に、乾燥した花はハーブティとしても利用される。トワイニング紅茶の「レディグレイ」にも入っているとか。リースやポプリなどドライフラワーとしても使われ、その青色を楽しむことができる。
マリーアントワネットもこの花を愛し、食器にこの花の模様を描かせた。
古くから愛されているこの花。素敵な器でおいしい紅茶を飲みたくなった。
花言葉:繊細、優美、教育、信頼
ヤグルマギク(矢車菊):キク科ヤグルマギク属の越年草