日本水産、マダコ完全養殖の技術構築に成功
日本水産は8日、マダコの完全養殖に成功したと発表した。タコ類は国内で年間7~10万トンが流通しているもののすべてが天然で、養殖技術はこれまで確立されていなかった。
天然のマダコは卵からふ化した幼生が海中を浮遊したのち、海底に定着する生活に変わる。さらに大きくなると親ダコと同じ姿形の稚ダコになる。養殖では浮遊幼生が海底に着底できずに死滅してしまうことが多く、着底段階に到達した成功例は国内では数件の報告しかない。海外で2004年に成功報告がされるも、その続報がない状況が続いていた。
同社研究センターでは、2015年に少数の稚ダコの生産に成功。2016年にはふ化した浮遊幼生数千匹のうち数十匹が稚ダコになった。稚ダコの段階からは比較的安定して飼育でき、ふ化後9~11カ月で交尾や産卵する複数の個体が見られた。その卵が2017年4月にふ化して数万匹の幼生を得、極めて困難とされるマダコの完全養殖に成功した。
今後事業化していくために、浮遊幼生から稚ダコまでの間の生残性の向上や、稚ダコ初期の育成技術の向上が課題だという。
画像提供:日本水産