バリアフリー法見直しへ 2020年に向け国交省が方針
国土交通省は27日、バリアフリー法・関連施策の見直しの方向性を公表した。2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、交通・観光分野を中心にハード・ソフト両面から対策を見直すことで、障害者・高齢者が社会参画しやすい環境づくりや「心のバリアフリー」実現を目指す。
公共交通施設でのハード・ソフト両面でのバリアフリー基準・ガイドラインを今年度中に策定するほか、同法の適用対象事業者の拡大も検討。公共交通事業者などに対しては、設備などのハード面の充実だけでなく、当事者への接遇についての職員研修や、当事者への情報提供などソフト面の導入を求め、心のバリアフリーを念頭に置いた施策を検討する。
心のバリアフリーとは、スロープやエレベーター設置といったハード面のバリアフリーに対して、人が必要に応じた手助けや配慮をすることで社会的な障壁を取り除くソフト面からのアプローチのこと。昨年のリオ五輪・パラリンピックでは、ハード面の不備が指摘されていたものの、ボランティアらによる自然体の手助けに注目が集まった。
見直しの背景には、20年東京五輪・パラに向けた共生社会実現の機運が高まり、2月に決定された「ユニバーサルデザイン2020行動計画」にバリアフリーの水準を上げることが明記されたことや、実際に発生した視覚障害者のホーム転落事故があり、同省では3月に検討会を設置していた。
同省が先月発行した2017年版交通政策白書では、ノンステップバス導入やエレベーター、スロープ設置などにおいて、地域での取り組みの遅れが指摘されていた。このほか、今月開かれた国際パラリンピック委員会(IPC)と2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会合では、ホテルなどのバリアフリー化の遅れが課題としてあげられていた。
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