【世界が見える! 米株ウォッチ】政治リスク意識も、後半は最高値更新
アメリカ株式市場で見る世界動向通信
7月10~14日のニューヨーク株式市場、ダウ平均株価(30種)は、一時政治リスクが意識されたり、市場の判断材料が不足する場面があったりしたものの、週後半は連日の最高値更新となった。アマゾンの動きに、他業種へ大きく影響を及ぼす可能性から注目が高まっている。
10日のダウは、前週末比5.82ドル下落の2万1408.52ドルだった。材料不足の中、前週末に積極的に売られたハイテク関連株を買い戻す動きがあった。トウモロコシの取引価格上昇で、化学肥料メーカーの株が買われた。また、アマゾンのセールを前に、売り上げ落ち込みへの不安から百貨店株は売られた。
11日は小幅に上昇、2万1409.07ドルでかろうじてプラスとなった。ロシア政府関係者とトランプ米大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が、昨年の米国大統領選挙前に会っていたことが明らかになり、ダウは政治リスクを意識して一時100ドル以上下落する場面があった。しかし、先延ばしにされていたオバマケア代替法案の採決が近いことが報じられると上昇に転じた。
12日は上昇、2万1532.14ドルでダウは最高値を更新した。連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長による議会証言は予想より慎重な内容で、利上げペースが緩やかである可能性が示唆された。金融の引き締めは続けつつ、大きく政策金利を引き上げる必要はないという内容で、利上げは緩やかに進むと受け止められた。
13日のダウは連日で最高値を更新、2万1553.09ドルだった。翌日に重要指標や金融大手の決算発表を控え、動きにくい展開だった。原油価格の上昇で、エネルギー関連が買われた。欧州中央銀行(ECB)が資産買い入れの縮小をすると報じられ、欧州を中心に債券が売られ金利上昇、金利上昇で恩恵を受ける金融株に買いが入った。
14日は続伸、2万1637.74ドルで取り引きを終えた。ダウは3日連続で最高値更新となった。この日に発表された6月の米消費者物価指数は、市場予想を下回った。利上げのスピードが緩やかになり、株式市場への資金流入が続くと受け止められ、市場に安心感が広がった。決算を発表した大手金融JPモルガン・チェースやシティグループは、決算は良かったが今後の利益拡大への期待が弱く、株価は下落した。
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