ネットでの象牙取引高、月4500万円超に WWF調査
世界自然保護基金(WWF)ジャパンは8日、2017年5~6月に実施したインターネット上の象牙取引に関する調査報告書「日本におけるインターネットでの象牙取引 アップデート」を公表。ヤフオクだけでも取引高は4週間で4520万円に上ると推定され、ネット上の取り引きが活発で多様化していることが明らかとなった。同調査は2014年に続く追跡調査で、同年と比較した。
象牙の国際取引は、1989年にワシントン条約で原則禁止とされているが、象牙を含む野生生物の違法取引はなおも深刻な課題となっている。日本においてはインターネット上の取り引きは原則合法とされているが、活発な取り引きが続いており、違法行為が懸念されている。
WWFジャパンは、日本において全ての象牙製品の合法性を担保する法規制がないことが問題だと指摘。その1つには個人の売買においては「種の保存法」が定める規制的措置が及ばないこと、もう1つは全形象牙を除く象牙製品が一切の合法性の証明の必要なしに取り引きが可能となっていることを指摘した。
また、フリマサイトのメルカリでは、近年に輸入実績のない海外諸国(タイ、コンゴ)から日本に持ち帰ったと明記されたアクセサリーの広告が数件確認されている。WWFは種の保存法では取り引きを規制することができず、ネット上での取り引きの現状に法整備が追い付いていないとしている。
さらにWWFは、日本政府に対しては早急に個人を含むすべての象牙取引に適用される厳格な規制をする必要性、eコマース企業に対しては象牙製品の取り扱いを停止するのが望ましいと提言した。
今回の調査は、ネット上の取り引きを(1)サイバーモール(楽天市場、ヤフーショッピングなどの電子商店街)、(2)オークション(ヤフオク)、(3)C to Cマーケット(メルカリ、ラクマ)のカテゴリーに分けて取引の実態調査を行ったもの。(1)(2)では2014年と比較して出品店舗・出品者の法遵守状況が大幅に改善し、eコマース企業による監視活動が成果を上げている。
(写真はイメージ)