JAMSTECとNHK、マリアナ海溝で世界最深の魚の撮影に成功
海洋研究開発機構(JAMSTEC)は24日、NHKと共同で、マリアナ海溝の水深8178mで遊泳する魚類の映像撮影に成功したと発表。魚類の生息限界深度とされる水深8200mに近い水深で魚類の存在が確認された。深海で魚類を撮影した映像としては世界最深の記録となった。
JAMSTECとNHKは、マリアナ海溝の海底付近で生物を撮影するため、4Kカメラを搭載した自動昇降式の観測装置を開発。5月に深海調査研究船「かいれい」で調査航海を行った。観測装置には、生物をおびき寄せるためにサバを取り付け、魚類が確実に生息しているとされる水深7498m地点と、浸透圧調整の関係から理論的に魚類の生息限界深度とされる水深8200mに近い水深8178m地点の2カ所に設置した。
いずれの地点も海底環境は泥質、暗色で角のある岩石が多く分布し、最初にヨコエビの仲間が現れてサバの身を数時間で食べ尽くした。水深7498m地点では複数のシンカイクサウオの仲間がカメラに写り、さらに水深8178m地点でシンカイクサウオ1個体が泳ぐ姿が写った。後者はこれまでの最深記録を26m上回る世界最深記録となる。
JAMSTECは今後、海溝域での食物連鎖網の解明や、生物群集の生息密度の推定を進めるため、現場観測や解析などの研究を続けていくという。
画像提供:JAMSTEC・NHK