ミュージアムへのお誘い~インターメディアテク

東京駅丸の内南口を出てすぐ左手にあるのが旧東京中央郵便局、現在のJPタワー・KITTE(キッテ)だ。その2、3階部に、JPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク(IMT)」がある。

旧東京中央郵便局は、1931(昭和6)年に竣工した昭和モダニズムを代表する歴史建築で、当時の逓信省経理局営繕課に在籍した建築家吉田鉄郎の設計による。関東大震災後の帝都復興事業のシンボルともなった。歳月は流れて2013(平成25)年3月、「JPタワー」として生まれ変わり、もともと郵便集配の業務に使われていた2階、3階の大空間に、日本郵便株式会社と東京大学総合研究博物館が協働で運営をおこなう公共貢献施設IMTが作られることとなった。

展示スペースはレトロモダンを基調としており、展示に用いられているケースやキャビネットは、上記博物館に保存蓄積されてきた戦前の木製什器を積極的に再利用したという。その大部分が教育研究の現場で使われていた東京帝国大学時代のものが多く、建物自体のオリジナルデザインと同様、重厚な雰囲気をかもし出している。

常設展示として、1877年(明治10)年の開学以来、東京大学が蓄積してきた歴史的な学術標本や研究資料などの学術文化財が多数展示されている。19世紀に制作された巨大ダイヤモンド模型コレクション、世界最大の金塊から、1650万分の1のドイツ製地球儀、鳥類・動物・大型昆虫の標本、明治期に教育用に輸入された化石のコレクション、古代貨幣、本剥製標本(多くは昭和天皇旧蔵品)まで、分野・専門を問わず様々な歴史的遺産が展示されている。また、展示の配置については、来場者の導線をあえて想定していないという。そのためどこからでも自由に、まるで研究室を散歩するかのような感覚で巡ることができるのだ。IMTではこのような展示のほか、ワークショップやセミナー開催等の活動も行っている。

またKITTEの4階に足を運ぶと、保存されている旧東京中央郵便局長室を見ることができる。八角形の柱や壁の傷は当時のままで、黒い窓枠やガラスのむらまでも復元されている。その窓から外に目をやると、JR東京駅丸の内駅舎が広がっている。こちらも必見だ。

画像提供:インターメディアテク