大型太陽フレア観測 通常の1000倍の爆発
情報通信研究機構(NICT)は7日、太陽面中央西寄りに位置する黒点群でXクラスの太陽フレアを6日に2回観測したと発表した。太陽フレアとは、太陽の表面で起きる爆発現象。今回1つ目は午後5時50分に発生し、同クラスとしては2015年5月5日に観測されて以来2年4か月ぶりのもの。2つ目は午後8時53分に発生し、最大X線強度が通常の1000倍以上にも及んだが、このクラスは2006年12月5日に観測されて以来11年ぶりだという。なお、太陽フレアの強度は爆発に伴って放出されるX線の強度によって、低い方からA、B、C、M、Xクラスに分類されている。今回の太陽フレア現象のXクラスは5段階のうち最大クラスを意味する。
これに伴い、高温のコロナガスが地球方向に噴出し、高エネルギーのプロトン粒子の増加が確認された。これが地球に到来すると、宇宙飛行士や人工衛星の被曝、大規模な場合は航空機乗員などの健康にも影響が出る可能性が指摘されている。また、これらの粒子が極域(*)に降り注ぐことで、無線通信障害が発生することもある。
こうした影響で、到来後数日間にわたって、地球周辺の宇宙環境や電離圏、地磁気が乱れる可能性があり、通信衛星、放送衛星などの人工衛星の障害やGPSを用いた高精度測位の誤差の増大、短波通信障害や急激な地磁気変動に伴う送電線への影響などに注意が必要となる。
太陽から吹き出す太陽風の速度は秒速500km前後で推移していたが、8日午前7時頃に衝撃波が到来し、秒速750km前後に上昇した。これに伴い、太陽風の磁場強度もやや強い10nT(ナノテスラ)前後から非常に強い30nT前後まで上昇した。
また、気象庁地磁気観測所(茨城県石岡市)によると、8日午前5時頃に緩始型地磁気嵐が発生し、8日午後6時の時点で地磁気水平成分の総変動量は206nTに達した。変動量が200nTを超えるのは2015年6月23日以来。この地磁気嵐は、6日午後8時53分に発生した太陽フレア現象に伴って噴出したコロナガスの影響と推測される。
*極域とは
極地(緯度66.5度以上)に、グリーンランドの南端や南極大陸の先端(緯度が66.5度以下)を含めた地域。
画像提供:情報通信研究機構(NICT)