世界食糧デー 栄養不足と食品ロスを考える
10月16日は国連が定めた「世界食糧デー」だ。食料は人の命を生かす大切なものだが、世界には栄養不足により5歳になる前に命を落とす子どもが年間500万人いると言われている。身近なところで自分にできることはないか、この日に考えてみたい。
栄養不足人口は減っているが、地域差広がる
世界中でおよそ7億9500万人(2014~16年)の人々が栄養不足に苦しんでいると言われている。これは世界人口の9人に1人の割合だ。1990〜92年の栄養不足蔓延率が18.6%だったのに対し、2014〜16年は10.9%に減少している。世界の総人口は増えているのに対し、栄養不足の人口は減少している。
しかし、栄養不足人口の増減には地域間で差があるのが現状だ。南アジア、サハラ以南アフリカの栄養不足人口は世界の中でも大きな割合を占めており、その人数は1990〜92年より2014〜16年の方が増加している。反対に、東アジアや南米は割合を減らしていて、各地域で栄養不足人口の減少目標の達成に差がある。
この状況に対し、国際的にさまざまな目標を掲げて、栄養不足人口を減らす取り組みがされている。1996年の世界食糧サミットや、2001年のミレニアム開発目標1(MDG1)では、栄養不足人口の減少を目指し、各国で目標達成を目指した。2015年で一区切りとなったが、栄養不足人口を減らす努力は引き続きしていかなければならない。
食品ロスを減らすと増産に頼る必要はなくなる可能性も
栄養不足人口の低下を目指すためには食料の増産を図らなければならないが、食料を増産しなくても栄養不足を解消できる可能性もある。それが「食品ロス」だ。
先進国では、食べられるのに廃棄される「食品ロス」が多く、日本の食品ロスは年間約621万トン。これは国連世界食糧計画(WFP)による世界全体の食料援助量(2015年)の約320万トンより多い。もしこの食品ロスがなくなり、捨てられるはずの食料が栄養を必要としている人の元に届けられれば、計算上は食料生産を増やさなくても栄養不足は解消できることになる。
世界の大きな問題に対し、私たち個々人が身近で取り組めることは何だろうか。まずは食べ残さない、食べ物を買いすぎないなど自分の食べ物に対する姿勢を変え、食べ物を無駄にしない努力をすることが、世界の栄養不足を解消する一歩につながるだろう。
画像提供:Wikimedia、国際連合食糧農業機関