世界初の微小デブリ観測衛星、打ち上げ失敗
11月28日にロシアのボストーチヌイ宇宙基地より打ち上げられた、世界初の微小宇宙ゴミ(スペースデブリ)観測衛星「IDEA OSG 1(イデア・オーエスジー・ワン)」。打ち上げから2日後の30日、あらゆる手段を試みたものの、位置特定もコミュニケーション確立もできなかったと発表された。ロシア国営ロスコスモス社のMeteor-M No.2-1を含め、すべての搭載物が失われたようだ。
地球上空に5兆8000個の「宇宙ゴミ」
地球の周囲を取り巻く衛星軌道上にある「スペースデブリ(宇宙ゴミ)」とは、人工衛星や打ち上げロケットなどが爆発あるいは衝突することによって生じた破片などの総称。現在、地上から追跡されている10cm以下の小さなものを含めると、推定で5兆8000億個ものデブリが地球の周囲を飛び交っているという。デブリは低軌道では秒速7km以上と非常に高速で運動しているため、人工衛星や宇宙ステーションに衝突すると大きな被害をもたらす危険がある。実際に、2009年2月のイリジウム衛星への衝突などすでにデブリ衝突も発生しており、そのリスクは無視できない。
宇宙ゴミの回収技術確立に挑む
現在、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や米航空宇宙局(NASA)など世界の関係当局がデブリの研究・調査に取り組んでいるものの、未だデブリの回収技術は確立されていない。
その中で、この問題に着眼し、宇宙機の安全航行を目指してデブリの観測・除去サービスの開発に民間で取り組んでいるのが、シンガポールに本社を置くアストロスケールだ。最高経営責任者(CEO)岡田光信氏による創業から4年半、そして2年半の開発期間を経て、初号機として打ち上げられたのが今回の「IDEA OSG 1」だ。低軌道の中でも高度 600~800kmの楕円軌道を周回して微小なデブリの大きさと位置を計測し、分布状況を把握することを目的としている。
同社は今後、2019年前半にデブリ除去技術のデモンストレーションミッションとして、「チェイサー」と「ターゲット」から構成される「ELSA-d」の打ち上げを予定。チェイサーは光検知器と捕獲機構を装備し、仮想的なデブリとなるターゲットを切り離した後、ターゲットを検知して捕獲し、衛星軌道を離れて大気圏に再突入して燃え尽きるという。
画像提供:アストロスケール社