アンドロイド「ERICA」、自然な対話の研究基盤を開発
人間と自然な対話ができ、外見も人間に似たロボットであるアンドロイド「ERICA(エリカ)」が3日、公開された。ERATO石黒ヒューマンロボットインタラクションプロジェクトの石黒浩教授(大阪大学)が、「違和感のない自然な対話」を追求する研究基盤として開発した。音声認識などの言語コミュニケーション技術と、視線やふるまいなどの非言語コミュニケーション技術の両方を備えている。
ERICAの顔は、実在の誰かをモデルにしたものではなく、「鼻と口とあごが一直線に並ぶ」といった、多くの美人顔に見られる共通的な特徴をコンピュータで合成したもの。顔の左右は対称で、日本人とヨーロッパ人のハーフに見えるように、彫りの深さや鼻の大きさ、高さを調整。人間との対話に適した姿形に加え、コンピューターグラフィックスであるため肖像権を持たない点も研究基盤に適している。
ERICAの音声認識は、「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる最新技術を用いて、多様な音声を認識できる。またERICAの発声に基づいて唇や頭部の動きを自動生成し、自然なしぐさを生み出せる。空気圧で頭部の滑らかな動きを実現しており、2年後には腕も含めた上半身をより人間らしく動くようにするとのこと。現在の機能だけでも、「研究室の来客と対話し、自己紹介する」といった限定された状況であれば、相手の動作や音声を認識して適切な受け答えをし、相手を見る、相手の話すリズムに合わせて相づちを打つ、自分の話すリズムに合わせて頭や表情を動かすといった、音声と動作が結びついた自然な対話が可能だ。
ERICAをベースに、違和感のない受け答えをするアンドロイドが街中で当たり前に存在する、そんな映画のような世界にまた一歩近づいた。
画像提供:科学技術振興機構