ダイオキシン類、日本人の血中濃度減少 環境省が調査

環境省は21日に公開したパンフレット『日本人における化学物質のばく露量について』で、ごみ焼却時に生じる有毒な副生成物「ダイオキシン類」の日本人の血中濃度が、減少傾向にあると報告した。2000年1月に施行された「ダイオキシン類対策特別措置法」により排出量は大きく減少しており、それに伴い大気や土壌中の濃度、食品中の濃度も減少し続けているという。

同パンフレットは、化学物質の人体への蓄積量などを調査する「化学物質の人への曝露ばくろ量モニタリング調査」の11~14年度の結果をまとめたもの。14年度の結果では、ダイオキシン類の血中濃度平均値はこれまでの調査と同程度で、「一生涯にわたり摂取しても健康に有害な影響が現れない」とされる摂取量の基準を下回っていた。また、6~9年前にも調査に参加していた69人中65人においては、血中濃度が下がっていたという。

同調査では毎年12地域334人を対象にして血液・尿を検査し、ダイオキシン類のほか、有機フッ素化合物、金属類、水酸化ポリ塩化ビフェニル(水酸化PCB)、残留性有機汚染物質(POPs)、放射性物質などの濃度をモニタリングしている。

ダイオキシン類はプラスチックなどの不完全燃焼で生じる化学物質で、発がん性や、内分泌かく乱で胎児に悪影響を及ぼす催奇性がラットにおいて報告されている。厚生労働省の「食品からのダイオキシン類一日摂取量調査」によると、摂取経路としては魚介類が最も多く、食物連鎖を通して生体内に蓄積していくと考えられている。

(写真はイメージ)