「踏んでも壊れない」柔軟性の高いトランジスタを開発 産総研
産業技術総合研究所(産総研)は12日、衣類のように柔らかく、伸縮、曲げ、ねじり、圧縮、衝撃などのさまざまな負荷をかけても壊れないトランジスタを開発したと発表した。
トランジスタとは、特性の異なる半導体を組み合わせて増幅またはスイッチ動作を行わせる素子。今回開発されたトランジスタは、金属や酸化物のような硬い材料を一切使用せず、単層カーボンナノチューブ、ゴム、ゲルといった柔らかい炭素系材料だけで構成されている。そのため、負荷をかけると全ての部材が一体化して変形するようになる。人体の形状にも合わせて自在に変形でき、身体に与えるストレスも少なくて済むので、衣類に付けて着用もできる。さらに衣類につけたまま洗濯することもできるし、たとえばハイヒールで踏むというような大きな負荷に対しても、壊れずに特性を維持するという。
このトランジスタの使い道として、生体センシングシステムや介護ロボットの皮膚など、医療用ヒューマンモニタリングエレクトロニクスへの応用が期待できる。この研究の詳細は、米国の学術誌Nano lettersオンライン版に近く掲載される予定。