欧州クリスマスマーケット便り(6)ドイツ・アンナベルク
くるみ割り人形やクリスマスピラミッドなど、ドイツのクリスマスに欠かせない伝統手工芸品の数々は、旧東ドイツ地域ザクセンのエルツ山地と呼ばれる地域で生産されてきました。古都ドレスデンからローカル線で2時間ほどの場所にあるアンナベルクでは、そんな土地柄を反映してか、素朴で手作り感あふれる魅力的なクリスマスマーケットに出会えます。
かつて鉱山で栄えたこの土地ならではのクリスマスのモチーフとして親しまれているのが、鉱夫と天使。危険を伴う鉱山労働者にとっての、守り神を意味する天使という組み合わせなのだそうです。また、くるみ割り人形は、権力の象徴だった王様や兵隊へのアイロニーを込めて作られたものだったのだとか。ドイツのクリスマス文化の中には、キリスト教と必ずしも関係ないものも、さまざま入り込んでいるのが興味深いです。
アンナベルクのクリスマスマーケットには、おもちゃやお菓子の屋台ばかりでなく、ごくふつうの衣料品や日用品を売る屋台も目につきます。クリスマスが必ずしも異次元のお祝いごとでなく、日常生活ともつながっていることを感じさせます。
冒頭の写真は、クリスマスといえばおなじみのくるみ割り人形。くるみ割り人形はエルツ山地が発祥です。