IoTで実現する近未来社会【ニュースのコトバ解説】
近年よく目にする「IoT」。「モノのインターネット」という、よく意味の呑み込めないコトバに訳されていますが、例えばウェアラブル(wearable: 身に着けて持ち歩くことができる)端末やお掃除ロボットなど、実はIoTは私たちの生活に役立つものなのです。知らなければ顔文字にも見えてしまうなじみのないコトバの意味を、きちんと理解してみましょう。
IoTって何?
IoTとは、「Internet of Things」の略称です。インターネットに接続するものといえば、従来はパソコンやスマートフォンなどのIT機器が中心でしたが、近年はさまざまな「モノ」が通信機能を持ち、インターネットに接続できるようになりました。具体的には、腕時計やメガネなど身につけて使用する「ウェアラブル端末」、スマートフォンで操作できるエアコンやロボット掃除機といった「スマート家電」、さらに自動車、カメラ、音響機器などが挙げられます。IoTは、身の回りにあるさまざまなモノが、インターネットにつながっていて、相互に通信し制御しあっている社会の形であり、それによって実現する新しいサービスやビジネスモデルの総称です。
情報収集用のGPS(全地球測位システム)やカメラの各種センサー、無線通信機器、集積される情報を分析するクラウド基盤などがIoTを支える技術であり、部品や機器の小型化、高性能化、低価格化によって普及が進んでいます。IoTで収集した大量の情報をビッグデータ技術で解析することによって、より快適で効率的な社会を構築できるようになると言われています。こうした超スマート社会は「ソサエティー5.0」と呼ばれ、科学技術政策の基本指針として閣議決定されています。
IoTで変わる社会・生活
それでは、IoTによって近い将来、私たちの日常生活や社会はどうなっていくのでしょうか。インターネットにつながるのは、「モノ」だけでなく「人」や「コト」にも広がりつつあります。IoTで機械の故障が遠隔でわかるように、人の状態も日常的に把握できるようになり、特に遠隔診療など医療分野の発展が見込まれます。また、民泊(民家や空き家の宿泊)やタクシー配車アプリなど、人やコトのつながりを利用したシェアリング事業も活発化しています。さらに、自動運転をはじめとした無人化も各分野で進むでしょう。
ただ、法的にグレーゾーンを許容しない性質のある日本では、技術の普及は海外に比べて遅れを取っていると言えます。質の高い快適な社会・生活を実現するためには、技術の開発、事業化、法整備、そして私たち消費者のリテラシーが、バランスよく進歩していく必要があります。
(写真はイメージ)