ペタンコなカニを小笠原海域で発見

ペタンコなカニを小笠原海域で発見

東京都は18日、2016年に実施した小笠原海域の海洋生物調査の結果、聟島むこじま列島で新種のカニを発見したと発表した。この新種のカニは甲羅を前後に押しつぶしたような形をしていることから、和名「ペタンココユビピンノ」と名付けられた。成果は国際学術雑誌『トロピカル・ゾウオロジー(Tropical Zoology)』で発表された。

このカニはゴカイ類と共生するコユビピンノ科というグループに属しており、甲羅の横幅は約7mm。水深10~15mの海底に生息するフサゴカイ類の棲管せいかんという管状の巣穴から発見された。棲管はゴカイ自身の分泌物や周りの砂などを固めて作られ、ストローのように中空で、カニのペタンコな体がその中にぴったりと収まっていたという。小笠原諸島の海域からコユビピンノ科のカニが記録されたのは今回が初めて。

小笠原諸島の陸上生態系は固有種が多く、2011年に世界自然遺産にも登録されたものの、海域の自然環境調査は陸上に比べて進んでいない。都は世界自然遺産の保全に役立てるため、2013年から2017年の5年に渡って小笠原諸島の聟島、父島、母島の3列島の海洋環境の生物相の調査を行った。その結果、日本初記録種30種を含む1500種を超える海洋生物の生息を確認した。

画像提供:東京都
(ペタンココユビピンノ、 上が雄、下が雌。スケールバーは3mm)