スペースX、大型ロケット打ち上げ成功 赤い車が火星へ飛行中
スペースXの大型ロケット「ファルコン・ヘビー」が日本時間7日午前5時45分、米フロリダのケネディ宇宙センター39A発射台から打ち上げられた。両サイドの再利用可能なブースター2基も無事に帰還した。今回デモ・ミッションとして打ち上げられた赤い電気自動車「ロードスター」は、火星に向けて飛行中だ。
高さ約70mのファルコン・ヘビーは、世界で最も強力なロケットで、約64トンを低軌道(LEO)に打ち上げる能力がある。ロケットの1段目は、ファルコン9で使われているエンジンを9基束ねたコア機体3つから構成されており、合計27基のエンジンは、打ち上げ時に約18機のボーイング747(ジャンボジェット)に相当する約2270トンの推力となる。これは1973年に最後の飛行をした月ロケット「サターンV」に次いで多くの積載物を軌道に届けることが可能だ。ファルコン・ヘビーに次いで打ち上げ能力があるロケットの2倍以上の推力でありながら、打ち上げ費用は3分の1(約100億円)であるという。ブースターを再利用可能である点がポイントだ。
今回、ファルコン・ヘビーの両サイドのブースター(サイドコア)は、打ち上げから2分29秒後に燃焼を終え、2分33秒後に切り離された後、2分50秒後に帰還のための噴射を開始。7分58秒後にフロリダ州ケープカナベラル空軍基地に無事帰還し、着陸した。ファルコン・ヘビーのセンターコアも3分4秒後に燃焼を終え、3分7秒後に2段目を切り離し、3分24秒後に帰還のための噴射を開始。大西洋に浮かぶ無人船「オフ・コース・アイ・スティル・ラブ・ユー(Of Course I Still Love You)」に着陸予定だったが、大西洋に落下し大破した。
ファルコン・ヘビーの積載物は、同社CEOのイーロン・マスク氏の赤いオープンカー「テスラ・ロードスター」だ。こういったデモ・ミッションでは、通常は大量の鉄鋼やコンクリートブロックを打ち上げるが、同社は「楽しいもの」として、赤い惑星(火星)のために赤いロードスターを打ち上げる価値があると判断した。ファルコン・ヘビーの2段目は、打ち上げ後3分15秒で噴射を開始し、3分49秒後にフェアリング(ロケット先端部)を展開。青い地球を背にしてダミー人形の「スターマン」が運転席に座ったロードスターの映像が映し出された。3度目の噴射で、ロードスターは地球から火星を超えて小惑星付近に向かうホーマン遷移軌道に投入された。