「世界水の日」 広がる水の格差 8億4400万人が清潔な水を利用できない現実
3月22日は「世界水の日」。水の大切さや世界の水問題について理解と関心を深めることを目的に、1992年に国連総会で定められた。これにあわせて国際NGOウォーターエイドは、報告書「水の格差 2018年世界の水の状況」を発行した。
報告書では、SDGs(持続可能な開発目標)の合意後2年が経過してもなお、世界中で8億4400万人が清潔な水を利用できない理由を分析している。今回の調査で、自宅周辺で清潔な水を利用できないと定義された人の数が増加したことが明らかになった。また、ワースト10のランキングには、これまで名前の挙がっていなかった国も入った。
自宅の近くで清潔な水を利用できない人数が多い国TOP10
(*は2015年にもランクインしていた国)
自宅の近くで清潔な水を利用できない人数が最も多かった国は、専制国家で難民の通り道にもなっているエリトリア。次いで2位となったパプアニューギニアは前回の1位から順位を下げたものの、海面上昇や異常気象など、気候変動の影響を大きく受けている。3位のウガンダは、今年初めて10位以内に入った。隣国の南スーダンで起きた紛争のために、アフリカ最大の難民受け入れ国となっている。9位のニジェールは、2016年に国連が発表した後発開発途上国の第2位に位置付けられている国。サハラ砂漠に位置する内陸国で、自宅の近くで清潔な水を利用できる人の割合は46%だが、富裕層は71%、貧困層は41%と、両者の間には30%もの開きがある。
8億4400万人の清潔な水を利用できないのは、最貧困層、農村部に住む人、高齢者、障害のある人、カースト・人種・宗教等によって差別を受けている人々だと、報告書には記されている。また、女性は30分離れた水源へ水くみに行くために年間2か月半もの時間を費やしており、学校に通えず貧困問題につながっている。さらに、不衛生な水や衛生設備の不備などが原因で、毎年5歳以下の子供約28万9000人が命を落としているという。
ウォーターエイドはこの問題の解決のために、現状の認知、財源の確保、教育・ジェンダーの平等など他分野との統合的な検討などを提言している。
画像提供:ウォーターエイド