ドイツ肥満問題 「不健康食品に反対する医師の会」が首相に公開状
ドイツで「不健康食品に反対する医師の会(以下、医師の会)」がメルケル首相に対し公開状を提出、子どもたちを過剰な砂糖の摂取から守るために、連邦政府が具体的措置を講じるべきであると訴えた。公共放送ARDが2日、ニュース番組「ターゲスシャウ」の中で報じた。
現在ドイツでは、子ども6人のうち1人が肥満状態にあり、この割合は1990年代と比較して50%増加している。さらに病的な肥満状態にある子どもの割合は過去30年近くで2倍に増えている。これにより心臓や循環器系の病気、また腰や脚に問題を抱える子どもたちが増加、さらに社会生活にも支障をきたすケースが多いという。
同問題の最大の元凶は、砂糖含有量の多い清涼飲料水やスナック菓子にあると見られている。小児科医職業連盟のトーマス・フィッシュバッハ氏は、「砂糖には中毒性があることを日々の診療現場で実感している」とコメント。「なぜ子どもたちは甘いものが好きなのか?それは幼いころから甘い味に慣らされてしまうからなのです。『うちの子どもは水を飲まないんです』という親がいます。よくよく聞いてみると、その子は小さい時からジュースや清涼飲料水ばかりを飲んでいて、そのためにただの水がおいしいと思えないのです」
こういった事態に対して「不健康食品に反対する医師の会」は、4つの具体策を提唱している。
・清涼飲料水など砂糖含有量の多い飲み物に対して、砂糖税を導入する。
・すべての食品に、健康なものかそうでないものかを消費者が一目で見分けることのできる、「栄養価信号」を明示させる。
・保育園や小学校で出す食事に対して、栄養価や砂糖の量の基準を法律で定める。
・テレビコマーシャルを取り締まり、栄養に関する正しい情報を提供する。
「不健康食品に反対する医師の会」には2000人以上の医師が参加しており、複数の医師連盟や健康保険組合、フードウォッチなどの消費者保護団体が後援している。
ドイツでは大人も男性では67%が、女性では53%が肥満状態にあり、このことによって生じる経済的損失は630億ユーロに上ると、ロベルト・コッホ研究所は試算している。
(写真はイメージ)