アルコール依存症になりやすい体質とは?後編

アルコール依存症になりやすい体質とは? 後編

前回は、アルコールに対する耐性に個人差があることを解説しました。後編では、依存症に対するセルフチェックの方法を紹介します。

解説:垣渕洋一
成増厚生病院・東京アルコール医療総合センター長
専門:臨床精神医学(特に依存症、気分障害)、産業精神保健
資格:医学博士 日本精神神経学会認定専門医
4項目でセルフチェックできる「CAGE(ケージ)」

セルフチェックで一番簡便なのはCAGE(ケージ)と呼ばれる基礎チェックです。以下の4つの項目に「はい」または「いいえ」で回答し、2項目以上「はい」と答えた場合、アルコール依存症の可能性が高いとされます。

(1)「飲酒量を減らさなければいけない」と感じたことがありますか
(2) 他人があなたの飲酒を非難するので気にさわったことがありますか
(3) 自分の飲酒について悪いとか申し訳ないと感じたことがありますか
(4) 神経を落ち着かせたり、二日酔いを治したりするために「迎え酒」をしたことがありますか

WHOが作成したスクリーニングテスト「AUDIT(オーディット)」

もっと細かくチェックしたい場合は、AUDIT(オーディット)を使います。これは世界保健機構(WHO)が作成した、10項目からなるアルコール使用障害スクリーニングテストです。

質問1~3で現在の飲酒量や飲酒頻度を確認し、質問4~10で過去1年間に生じた飲酒に関連した問題の有無をチェックして各質問の点数を合計します。 多くのスクリーニングテストがアルコール依存症を識別するために考案されているのに対して、AUDITが問題飲酒を拾い上げ、対策についても合わせて示してくれることが特徴です。WHOでは、文化、人種差によって、カットオフポイント(何点以上あれば該当するという点数)を決めてよいとしています。日本でも、いくつかのカットオフポイントが提唱されていますが、「7点以下はローリスク飲酒、8~19点はハイリスク飲酒、20点以上は依存症疑い」とすることが、AUDIT使用マニュアル(日本版)で推奨されています。

ここで注意すべきことは、未成年、医師から断酒を指示されている人、妊娠中の方においては、この点数は本来ゼロ点でなければならないということです。また点数が低くても、うつ病、糖尿病、肝障害などの合併症があれば、厳しい措置を取って減酒でなく断酒が必要とされる場合もあります。

(写真はイメージ)
参考記事
アルコール依存症になりやすい体質とは? 前編(2018/06/07)
アルコールとの正しい付き合い方 ~「酔い」の4段階を知ろう!【前編】(2018/04/27)
アルコール依存症の実態とは? TOKIO山口達也の飲酒めぐって注目。専門家「まずスクリーニングテストを」(HUFFPOST)