元号の日 改元を前に振り返る歴史【ニュースのコトバ解説】
6月19日は元号の日。645年のこの日、日本で初めて元号が制定されたことに由来します。昨今の改元議論で注目を浴びるこの「元号」について、起源をさかのぼってみましょう。
昔はコロコロ変わった元号
古代中国では「統治者は土地や民のみならず時間をも支配する」という思想に基づいて、統治者の制定した元号を使用することはその支配に従うことを意味しました。紀元前140年、前漢の武帝が即位の翌年を建元元年としたのが最初の元号で、この制は後に朝鮮や日本など周辺諸国に広まりました。
日本では645年に孝徳天皇が即位してまもなく、この年を大化元年と定めたのが最初です。現在は同一の天皇の代は同じ元号とする「一世一元制」が定められていますが、古くは飢饉や災害などを受けた「災異改元」や、「和銅」など吉事を理由とする「瑞祥改元」など、同一の天皇の下で何度も元号を変えることがありました。
今まで制定された元号の数は、大化から平成まで247あり(南北両朝のものを含む)、同じものが用いられたことはありません。元号に使用された漢字は全部で72文字、そのうち約40文字が繰り返し使用されています。最も多く使われている字は「永」の29回で、「元」と「天」が27回、「治」が21回となっています。
平成の次は……?
近現代の元号を見てみましょう。明治は「聖人が南を向いて政治を行えば、政治は明るい方向に治まる」という意味で、出典は中国の古典『周易』です。複数の候補の中から、明治天皇がくじを引いて選んだと言われています。大正は「天が民の言葉を進んで受け入れれば、政治が正しく行われる」という意味で、同じく『周易』から採られました。昭和は「国民の平和と、世界の共存共栄」を意味し、『書経』が典拠となっています。終戦後に大日本帝国憲法とともに皇室典範が効力を失い、元号に法律の支えがなくなったため、1979年に元号法が成立しました。その後、『史記』と『書経』をもとに選ばれたのが、「国の内外にも天地にも平和が達成される」という意味を持つ「平成」です。
2019年5月1日に予定されている改元。次はどのような元号が定められ、日本の未来はどうなっていくのでしょうか。
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