ブドウ種子エキスが女性のメタボ予防に
東京医科歯科大学の麻生義則准教授らのグループは15日、ポリフェノールの一種であるプロアントシアニジンを豊富に含むブドウ種子エキスが、女性ホルモン欠乏による腸内フローラの変化を抑えて、メタボ化を予防・改善すると発表した。この成果は、4月に米科学誌『ジャーナル・オブ・フード・サイエンス』に、6月には本邦科学誌『ジャーナル・オブ・メディカル・アンド・デンタル・サイエンシス』に掲載された。
厚生労働省によれば、日本人女性の平均寿命は86.99歳であり、閉経後の人生も長い。しかし、閉経後は女性ホルモンの低下により内臓脂肪が増え、それに伴う血糖上昇、いわゆるメタボ化のリスクが高まることが知られているが、この現象の背景にある分子メカニズムは十分に解明されていない。また近年、腸内細菌が、食物の消化活動のみならず、さまざまな疾患の原因となることが明らかになっている。例えば、肥満者の腸内細菌を移植されたマウスは、痩身者の腸内細菌を移植されたマウスよりも有意に太る。
麻生准教授らの研究グループは、閉経女性のモデルである卵巣摘出マウスの腸内フローラを解析し、いわゆる「デブ菌」と呼ばれるファーミキューテス門に属する細菌が腸内に増加し、痩せ型の人に多く存在するバクテロイデーテス門に属する細菌が減少することを見出した。このマウスは、内臓脂肪、皮下脂肪の蓄積による肥満に至り、血糖値が上昇する。ところがこのマウスに、高い抗酸化力を有し、身体のさまざまな疾患に対する治療効果が挙げられている、プロアントシアニジンを多く含むブドウ種子エキスを連日摂取させたところ、ファーミキューテス門細菌の増加とバクテロイデーテス門細菌の減少が抑制され、肥満指数とよばれるファーミキューテス門/バクテロイデーテス門比(F/B比)が改善された。これに伴い、内臓脂肪、皮下脂肪の蓄積が共に抑制されたという。
内臓脂肪の蓄積は血糖値上昇の原因となるが、ブドウ種子エキスの投与によって、糖負荷試験時の血糖値も改善された。一方、ブドウ種子エキス投与による、餌の摂取量、筋肉重量や内臓重量への影響は認められなかった。このことから、ブドウ種子エキスは、閉経後の女性の腸内フローラを改善し、メタボ化を予防する機能性食品である可能性が非常に高いと結論付けた。
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