はやぶさ2が小惑星リュウグウに接近 最終の垂直降下軌道へ
小惑星リュウグウまであと数10kmに近づいた小惑星探査機「はやぶさ2」は22日、最終の垂直降下軌道に移行した。
はやぶさ2は光学電波複合航法による7度目の軌道制御(TCM07)を、22日の午前9時30分頃から午前10時40分頃にかけて数回に分けて実施し、-x方向に毎秒2cm、+y方向に毎秒1cm、+z方向に毎秒31cmほど加速した。今月8日に最初の軌道制御(TCM01)を実施した際の探査機と小惑星の距離は約1900km、小惑星に向かう相対速度は毎秒約2.35mだった。今回の7度目の軌道制御により、小惑星との距離は約45km、相対速度は毎秒約9cmとなった。
これは、日本時間20日の午後6時50分に、小惑星まで約100kmの距離から望遠の光学航法カメラで撮影したものを加工したリュウグウの写真。主任研究者である杉田精司氏は、「リュウグウに一段と近づいて個別の地形が判別できるようになり、地勢に富んだ星であることが分かってきました」とコメントした。クレーターや溝のような多様な地形からは、母天体からの分裂の様相やその後の進化を知ることができる。
複数の時刻の画像から、リュウグウの自転軸の向きは、小惑星の公転面に対してほぼ垂直に近いことがわかった。また、小惑星の自転の回転方向は地球の自転と反対の逆行回転で、自転周期は7時間半ほど。リュウグウの直径は900 m程度とみられ、地上観測の予測とも整合する。全体の形状は、赤道部分がふくらんだコマ(独楽)の形で、高速で自転する小型小惑星に多く見られる形。2016年9月に打ち上げられた米国の小惑星探査機「オシリス・レックス」が今年8月からアプローチする小惑星ベンヌと形が似ているが、ベンヌの直径はリュウグウの半分(体積は八分の一)ほどで、自転周期もリュウグウの半分ほど。それでも形が似ているということは何を意味しているのだろうか。なお、JAXAとNASAは、はやぶさ2とオシリス・レックスで回収したサンプルを相互にシェアする協定を結んでいる。
画像提供:JAXA