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西郷どんの鹿児島は明治維新の出発点 世界に目を向けた先人たち

西郷どんの鹿児島は明治維新の出発点 世界に目を向けた先人たち

「大迫半端ないって」――サッカーW杯の対コロンビア戦で一躍注目の的となった日本代表の大迫勇也選手。サムライイレブンの一人として目覚ましい活躍を見せる大迫選手は鹿児島出身だ。その彼を生んだ鹿児島は、150年前の明治維新のときに多くの偉大な「侍」を輩出した土地。今年のNHKの大河ドラマ『西郷せごどん』の鈴木亮平演じる西郷隆盛、渡辺謙が演じた薩摩藩主の島津斉彬なりあきら、そして明治政府の礎を築いた大久保利通も鹿児島出身だ。

平成最後の年となる今年は、同時に明治150年にも当たる。この鹿児島の地で150年前、西郷隆盛らが新たな歴史を切り開いた。

今年の大河ドラマが鹿児島ゆかりの偉人を描いた『西郷どん』に決定したのをきっかけに、鹿児島市内では西郷隆盛ゆかりの地をめぐるまちめぐりバスが運行を開始した。鹿児島中央駅からスタートするこの巡回バスは、西郷隆盛像前や世界文化遺産である仙巌園せんがんえんなど20カ所の名所を回る。そのうちの一カ所である維新ふるさと館では、激動の明治維新の政治、産業、文化、教育などを幅広く学ぶことができる。館内ではドラマ上映も行なわれており、音や光、ロボットなど多彩な演出で構成されている展示は見応え十分だ。上映されているドラマは2つあり、そのうちの一つ『維新への道』の長さは約25分間。幕末から明治にかけての歴史の流れを解説しているものだ。もう一つの『薩摩スチューデント、西へ』は約20分間の長さで薩摩から英国に派遣された留学生の様子を再現したドラマとなっている。

鎖国時代にいち早く海外に目を向けた薩摩

1863年の薩英戦争をきっかけに外国の戦力を目の当たりにした薩摩藩の五代友厚ともあつは危機感を感じ、今後の国づくりのためには留学し、西洋の技術を習得する必要があると薩摩藩主に申し出た。富国強兵に努めていた薩摩藩はその申し出を受け入れ、一人当たりに現在の額で約2700万円という法外な渡航費を拠出、留学生15人を派遣した。初代文部卿(大臣)を務めた森有礼ありのりも、その中の一人だった。当時、日本はまだ鎖国中であったため洋行は禁止されており、このことが明るみに出れば死刑という、文字通り命がけの渡航だった。13歳から32歳までの幅広い年齢層の人材が選ばれたが、彼らは渡航の途上で欧米の支配下に置かれた植民地の姿を目にしながら、「日本をそのような地にしてはならない」と切迫感を持って西洋の知識を吸収していったのだという。渡航からの帰還後、世界を見てきた彼らは明治政府の要人として、条約改正や教育制度の整備などに携わった。紡績機械の買い付けなど、実業家として明治日本の発展に貢献した者もあった。

そして150年の時を隔てた今、サッカー日本代表の大迫選手は23歳の時にドイツのチームに移籍、日本にはない環境を求めて世界の舞台に挑戦した。昔も今も、慣れ親しんだ環境や常識を打ち破って世界に出て行った人たちが、そこで得た広い視野と知見を持って日本を変化させてきた。150年前の先達たちから私たちは今、何を学ぶことができるだろうか。