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今年は国際サンゴ礁年 サンゴ礁を守るために必要なこと

マイクロプラスチックでサンゴ白化問題 歯磨き粉などにも含有

東京経済大学の大久保奈弥なみ准教授らのサンゴ生物学研究チームは、プラスチックが砕けることで発生するマイクロプラスチックが、サンゴと褐虫藻かっちゅうそうの共生関係を阻害するという研究結果を発表した。海洋汚染の専門誌『マリン・ポリューション・ブルティン(Marine Pollution Bulletin)』に掲載された。

褐虫藻はサンゴの細胞内に宿り、光合成によって生産された酸素などの栄養物をサンゴに渡す役割をしている。一方サンゴは、褐虫藻の養分になる二酸化炭素などの老廃物を渡す役割を果たしており、両者は共生関係にある。褐虫藻はサンゴが必要とする栄養の約90%を供給しており、サンゴが褐虫藻と共生できない場合は白化現象を起こし、死滅することもある。

マイクロプラスチックは5mm以下のプラスチックの破片の累積物と定義される。食物連鎖を通してサンゴの体内に容易に取り入れられ、小さいマイクロプラスチックは大きいものよりも容易にサンゴの細胞に取り入れられる。また大きいマイクロプラスチックは即座に外に出されるが、小さいものは細胞内に長く蓄積されるという。こうしてサンゴの体内にマイクロプラスチックが取り入れられると、サンゴは褐虫藻と共生できなくなり白化現象を起こす。サンゴが白化すると海の生態系に影響を及ぼすだけでなく、サンゴは自然の防波堤の役割をしているため、大きな波が陸地まで進出する可能性がある。

マイクロプラスチックには1次マイクロプラスチックと2次マイクロプラスチックがあり、前者は洗顔剤や歯磨き粉、シャンプーなどに含まれている。後者はプラスチックが風化することで発生するもので、浜辺に打ちあがっているプラスチックごみや、農業で使われるプラスチックシートが雨風の影響で海に入ったもの、道路を走るタイヤから発生するカスなどが含まれる。

(写真はイメージ)