フランスが小中学校でのスマホ使用禁止へ 9月から実施
フランス国会は7月30日、小中学校でのスマートフォンなど携帯機器の使用を禁止する法案を可決した。これはマクロン大統領が選挙公約として掲げていたものの一つで、62対1の賛成多数で議会を通過した。生徒への教育の強化と責任ある携帯電話利用の普及を目指すとしており、9月の新学期から施行される。ル・パリジャン紙が伝えた。
フランスでは12~17歳の子どもの10人に9人が携帯電話を持っており、子どもたちが暴力的または、わいせつな動画や画像を見ていないとしても、学校内での携帯電話の使用は授業への集中やクラスの雰囲気などに支障をきたし、休憩時間に体を動かすことの減少につながるとして問題視されていた。
今回、共和党をはじめとする複数の野党は投票を放棄。野党は、同法案は「宣伝」「見せかけの措置」「うわべだけの法案」で、結局は「何も変わっていない」と批判している。フランスではすでに2010年7月12日に教育法において、「全ての教育活動中及び内規で決められた場所」での携帯電話の使用は禁止されている。「国内の約半分の中学校は、授業中及びすべての休憩時間の携帯電話の使用禁止を取り入れている」とアラン・ダビッド議員は主張。
今回の法律ではインターネットに接続できる携帯電話などを自宅に置いて登校するか、校内で電源を切ることが義務付けられる。あるいは学校側で携帯電話を預かることになり、そのための場所的、金銭的な問題も疑問視されている。
「教員は、預かった携帯電話の責任を負うことはできない」と元教員で学校生活の補強を主張しているアレクシス・コルビエール議員は指摘する。また、マクロン大統領がサッカーW杯後に、優勝したフランス代表をエリゼ宮に招いた際、スマートフォンを取り出して自撮りをしたことについて、「若い世代に対して、教育者としての資質を欠いた行動だった」との批判の声も挙がっている。
なお、同法案では小中学校において、インターネットに接続できるすべての携帯機器(携帯電話、タブレット、腕時計など)の使用を禁止しているが、教育の目的で使う時に関しては例外で、それぞれの教育機関の内規に従うとしている。また、ハンディキャップを持っている子どもたちに対してや、スポーツなどの課外活動においても、例外が認められる。15歳以上の子どもが通う高校では、同法案実施の判断は学校側に委ねられる。
出典:ル パリジャン(2018年7月30日)
(写真はイメージ)