世界初のクオーツ式腕時計など19件を未来技術遺産に登録
国立科学博物館は21日、2018年度の「重要科学技術史資料(未来技術遺産)」として、世界初のクオーツ式腕時計「セイコー クオーツアストロン35SQ」など19件を登録した。
未来技術遺産登録は、生活および社会に顕著な影響を与えた技術に対して認定されるもの。日本の産業技術や科学技術の発展を示す資料や、国民生活・経済・社会・文化のあり方に顕著な影響を与えた資料の保存活用を図るために、国立科学博物館が2008年に発足させた。同館ではパネル展示が8月28日から9月2日まで実施される。
今回登録された「セイコー クオーツアストロン35SQ」は1969年発売。クオーツ式の心臓部である水晶振動子の小型化を自社開発によって達成し、間欠運針のステップモータを採用することによって省電力化を実現した。この開発により特許権利化した技術を諏訪精工舎が公開したことによって、各社が当該方式にならい、クオーツ式腕時計は世界中に普及。時計技術の大きな改革を実現した。
「ボトル自販機 V-63」は、日本市場に参入したコカコーラ社によって、1960年代に広く日本国内に普及した。現在の自販機技術の基盤となった技術を備えていて、自販機大国と評される日本の新たな生活様式の創出に顕著な役割を果たした。
「FACOM128B」は、富士通信機製造(現:富士通)が1959年に制作した電磁石で断続するリレーを用いたコンピュータ。国産旅客機YS-11やカメラのレンズの設計に使われ、日本の高度成長期の計算需要に応えた。日本のコンピュータ技術の歩みを示すものとして重要な位置づけを担っている。
(冒頭の写真は国立科学博物館)
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