【3分でわかる!今月の世界経済】トルコリラ急落の背景は
今月、トルコリラが急落した。7月は1トルコリラ=22〜25円付近で推移していたが、8月には一時15円台まで急落。トルコは企業への規制が少なく外資系企業が数多く進出していることもあり、近年GDP成長率は高成長を維持してきた。そのため、日本国内でもトルコリラ建ての金融商品やトルコリラ自体は成長する資産として注目されてきた面があり、投資していた投資家も少なくないはずだ。しかし、株式に比べて安定性が高いとされている債権の資産でさえも、今回の急落で大きく値を下げる事態となった。
きっかけは8月10日、米国のトランプ大統領がツイッター上で、トルコのアルミに20%、スチールに50%の関税を課すと発言。また、現在トルコとの関係性がよくないと発言したことで対立姿勢が鮮明になったことが急落のきっかけとなった。トランプ大統領の強硬姿勢は、トルコで拘束中の米国人牧師の釈放をめぐる対立が原因だ。
トルコは政情不安が続いており、リラは長期的に下落に傾いていた。強権的なエルドアン大統領は、同政権で自分と親密な人物を財務大臣としたことから、トルコ中央銀行が独立性を失ったと市場では判断された形だ。政権はトルコ国民に対してリラを積極的に買って買支えをするように呼びかけているが、1トルコリラ=20円台に届かない状況が続いている。
エルドアン政権が今後も今のような強権的な政治運営を続けるのか、中央銀行の独立性が取り戻せるのかなど、政治の動きと連動してトルコリラの動向は変化しそうだ。
(写真はイメージ)