廃車プラスチックのリサイクルを促進 産学連携で装置開発へ
世界86カ国で自動車リサイクル事業を展開している会宝産業(石川県金沢市)など5社と金沢工業大学が連携し、破砕・粉砕・洗浄を一体化した小型破砕洗浄機の開発に取り組むことが27日に発表された。これまで小規模な自動車リサイクル業者ではリサイクルできずにいたプラスチック部品のリサイクル資源化が可能になるという。この装置の開発を通じて、自動車産業における「次世代循環型解体ビジネス」の世界展開を目指す。
同社が幹事企業となり、同業のアール・トーヨー(長崎県長崎市)、福山セコ(広島県福山市)、桃太郎部品(岡山県岡山市)と連携。設計製作を担当するのはリバーヘッドシステムズ(石川県金沢市)で、金工大ロボティクス学科の土居隆宏准教授が技術アドバイザーとして参画する。会宝産業や金工大などが取り組んでいる、持続可能な開発目標(SDGs)が背景にある。
プラスチックのリサイクルへの関心が世界的に高まっている一方で、自動車のプラスチック部品は多くが焼却、埋設されている。日本国内で廃車になる中古車は年間約350万台とも言われているが、フロントバンパー、リアバンパーといった外装部品や、ダッシュボードやドアトリムなどの内装部品は大きくかさばるため、シュレッダー業者やプレスせん断処理業者の大型シュレッダーで処理され、焼却や埋設されているという。
今回開発される予定の小型破砕洗浄機は、効率的に破砕、洗浄することでポリプロピレンやSABS樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンなど、再利用可能な樹脂を選別できるようにする。また小規模な自動車リサイクル業者にも導入できるように、フォークリフトで運搬できるようにするという。
また、これまでの課題として、リサイクル業者へ輸送するコストが高く採算が取れなかったり、リサイクル業者が中小の解体業者から受け入れる際には供給の不安定さや品質確保の面でのリスクを加味した買取価格をとらざるをえなかったりといった問題があった。これに対して、この小型破砕洗浄機ではネットワークを介してクラウドでのデータ管理ができるようにするため、中小規模の解体業者も共同納入して輸送コストを削減したり、共同で価格設定もできるようになる。採算性を向上させることで、より確実な再生プラスチックの生産が可能となる見込みだ。
(写真はイメージ)