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【幸せの国フィンランド紀行】ヘルシンキの三大教会をめぐる

【幸せの国フィンランド紀行】ヘルシンキの三大教会をめぐる

国連の2018年「世界幸福度ランキング」で1位に輝いたフィンランド。群ようこ原作の映画『かもめ食堂』でも知られる街並み、かもめが飛ぶ港、湖や森などの自然が美しく、ゆったりとした時間が流れていく北欧の風景は、私たちを魅了してやまない。北欧雑貨やインテリア、そしてムーミンやサンタクロースも「フィンランド生まれ」だ。日本からは直行便で首都ヘルシンキまで約10時間。近年、身近な存在になったとはいえ、気軽に行くには少し距離がある、近くて遠い国フィンランド。そんなこの国の魅力を、数回に分けて紹介していきたい。
フィンランドの首都ヘルシンキの夏は通常、日中の気温が20度前後で、からりとしていて過ごしやすい。(ただし世界的な酷暑に見舞われた今年の夏は、フィンランドも例外ではなく、「暑くて過ごしにくく大変だ」とタクシーの運転手さんがこぼしていた。)

ヘルシンキは、1日もあれば回りきれてしまうくらいこぢんまりとした街で、街中を走るトラム(路面電車)やメトロ、バスを利用すれば、目的地に容易にたどり着くことができる。

この街の定番観光スポットといえば大聖堂や教会など。ヘルシンキの街のシンボルであり、最も有名な観光名所といえるのがヘルシンキ大聖堂だ。元老院広場の階段を上ったところにある白い外壁と5つのドームが美しいこの大聖堂は、福音ルーテル派の総本山。ドイツ人建築家、カール=ルートヴィッヒ・エンゲルによる設計で、年間35万人以上の人が訪れるという。

【幸せの国フィンランド紀行】ヘルシンキの三大教会をめぐる
街のシンボル、ヘルシンキ大聖堂。大聖堂前の階段は市民の憩いの場となっている。

ヘルシンキ大聖堂を後にし、少し歩いたところにある小高い丘の上に位置するのがウスペンスキー寺院だ。赤レンガの建物と黄金のクーポラ(半球型の天井)が印象的なこの寺院は、北欧最大規模を誇るロシア正教会。ロシア人の建築家アレクセイ・ゴルノスターエフが設計した。1853年のクリミア戦争で破壊された建材を用いて建てられたとされるこの聖堂の地下には、第2次世界大戦中、ソ連軍の空爆からの避難所として使用された防空壕が残っている。

【幸せの国フィンランド紀行】ヘルシンキの三大教会をめぐる

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中に入ると高い天井ときらびやかな金色の装飾、豪奢なシャンデリア。簡素な印象のヘルシンキ大聖堂と比べると、贅を尽くして作られた印象を受ける。教会の入り口では小物や、聖母の描かれたコインやネックレスなどを売っていた。

もう一つ、ヘルシンキで訪れるべき欠かせない教会が、1969年にスオマライネン兄弟によって設計されたフィンランド福音ルター派教会に属するテンペリアウキオ教会だ。

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テンペリアウキオ教会。外からみると一見何なのかよくわからない。

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この教会は岩盤を掘り、その上に銅の円形の屋根をかぶせた非常に特徴的で現代的なデザインで、銅板と岩の間をつなぐガラスの窓から自然光を取り入れ、室内を明るくする工夫がなされている。筆者が訪れたときにはピアノの生演奏の最中で、荘厳な音色のなか、祈る人、天井を眺める人、二階から室内を見下ろして感嘆の声を上げる人など、様々な様相の観光客でにぎわっていた。くりぬいた岩盤がそのまま使われているため、教会内部は音響効果にすぐれ、しばしばコンサートホールとしても利用されているそう。

ヘルシンキを訪れるのなら、この3つの教会を訪れて、その雰囲気の違いをぜひ肌で感じてみてほしい。ヨーロッパの北に位置し、独特の風土と歴史を持つフィンランドの一面に出会えるはずだ。

(冒頭の写真は、ヘルシンキ大聖堂の階段を下りて路地に入ったところ。港ぞいのマーケットに繋がる道には世界の国旗が掛けられてあった。)