がん診断から71.3%が3年後も生存 国立がん研究センター
国立がん研究センターは12日、がんと2011年に診断された患者の3年生存率と、08~09年に診断された患者の5年生存率を発表した。今回初めて、268施設の2011年院内がん登録データを用いて3年生存率集計が実施され、より早い段階での生存率情報が明らかになった。
従来のがん治療では、5年後の生存状況が一つの治癒の目安として用いられており、国立がん研究センターでは診断から5年後の生存率の集計・報告がなされていた。今回は、がん診療連携拠点病院等のデータでは初めて3年生存率の集計を実施。がん診療連携拠点病院等30万6381件、268施設において、実際に診療した患者の生存割合で、死因に関係なくすべての死亡を計算に含めた「実測生存率」と、がん以外の死因を取り除いた「相対生存率」を算出した。
2011年診断例について病期別に3年実測生存率と相対生存率を集計したところ、全がんの3年生存率は実測生存率が66.3%、相対生存率が71.3%だった。今回は胃、大腸、乳房、肝臓、肺の主要5部位に加え、食道、膵臓、前立腺、子宮頸部、子宮体部、膀胱の6部位を加えた11部位の部位・病期別等に生存率を集計した。部位別の3年生存率では、膵臓がんの3年相対生存率が最も低く、15.1%にとどまった。
同センターは今回の集計結果について「がん医療の実態評価の方向性を示し、活用方法を検討していく出発点となる」とした。
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