カナダでトランス脂肪酸の食品添加が禁止に 心臓発作予防に期待
カナダでは17日、マーガリン等に使われているトランス脂肪酸の主要成分である部分水素添加油脂の使用が正式に禁止された。今後カナダ国内で、部分水素添加油脂を使用した食品の製造は違法となり、輸入品や飲食店での食事を含めたカナダにおける全ての商用飲食品が禁止対象となる。17日付のCBCニュースが報じた。
トランス脂肪酸は水素添加によって製造されるマーガリンやショートニング、それらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子、揚げ物などに含まれており、サラダ油などの精製した食物油にも微量が含まれている。トランス脂肪酸にはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を上げ、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を下げる働きがあり、摂りすぎると心臓病のリスクが高まるとされている。
今回の禁止令によりカナダでは、20年間に1万2000件以上の心臓発作を防ぐことができると見られている。また米国においても2015年に、トランス脂肪酸を含む部分水素添加油脂の食品添加を禁止することが発表されている。
日本では、現時点で食品中のトランス脂肪酸に加えて不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸、コレステロールなどほかの脂質に対する表示義務や基準値は存在していない。
トランス脂肪酸による健康への悪影響を示す研究の多くは、トランス脂肪酸の摂取量が多い欧米人を対象としたものであり、日本人にも同様の影響があるのかどうかは明らかになっていないという。しかし厚生労働省の調査では、2016年の日本人の成人男性の約30%、成人女性の約40%が、目標量の範囲を超えて脂質を摂取していることが明らかになっており、近年、脂質をとりすぎる人の割合が日本でも増加傾向にあることが報告されている。
(写真はイメージ)